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インタビュー企画

聖書カウンセリングの働きで大切にしたいこと【前編】

聖書カウンセラーの働きや教会との連携の仕方を具体的に知っていただくため、働きに関わっている方々との対談企画をはじめました。第1回目は、宣教師であり米国認定聖書カウンセラー協会の認定カウンセラーでもあるバーンズ知恵さんです。聖書カウンセリングの働きを行う上で大切にしていることや地域教会での働きについてお話いただきました。

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バーンズ知恵

鳥取県出身。クリスチャンホームに生まれ、幼い頃から教会の日曜学校で聖書に親しみながら育つ。高校卒業後、アメリカに留学する。聖書学院で学んだ後、カリフォルニアのマスターズ大学に転校。2012年頃宣教師として家族で来日して以来、日本での働きを続け、現在は名古屋のロゴスコミュニティチャーチに仕えている。米国認定聖書カウンセラー協会(ACBC)の聖書カウンセラーとして働く他、聖書カウンセリングのセミナー講師、キリスト聖書学園(CBI)の聖書カウンセリングプログラム講師を務めている。

聖書カウンセラーになったきっかけとこれまでの働き

ーー聖書カウンセラーの働きを始めるきっかけはどのようなものでしたか。

知恵さん 中学校の頃に不登校の生徒や不良の人たちがよく保健室に行っていたのを目にしていました。大学進学を考えたとき中高生の心のケアができるといいなと思いました。ただ、その頃はカウンセリングが日本に広まっておらず、ケースワーカーもなくスクールカウンセラーもいなかったです。ちょうどその頃に出会った短期宣教師から、アメリカではカウセリングについて学ぶことができると聞いて留学することにしました。最初は聖書学院にいましたが、もう少し本格的に聖書カウンセリングを学ぼうと思いマスターズ大学に転校しました。


ーー2012年に日本に戻られてからのことをお伺いできればと思います。これまで宣教師としてどのような働きをされてきましたか。

知恵さん 私たちが来日したときは、周りの人は誰も聖書カウンセリングという働きを知らなかったです。日本での働きは14年目になりますが、これまで教会で弟子訓練を行う他、友人の牧師や宣教師などから紹介された方に聖書カウンセリングを行ってきました。また、キリスト聖書学園(CBI)の聖書カウンセリングプログラムでもメンター・スーパーバイザー・講師を担当しています。今年はBCMW(Biblical Counseling Ministries Worldwide) のセミナーでも講師をさせていただきました。ずっとカウンセリングをしていたわけではないのですが、知り合いの牧師先生などから「こういう方がいらっしゃって助けを求めています」と声をかけていただきカウンセリングを行ってきました。

ーー聖書カウンセリングの働きをする中で扱うことが多かった問題はどのようなものでしょうか。

知恵さん 私が関わった方は、うつだったり不安症を抱えている方が多かったです。過去のことをきちんとプロセスできていない故に今も重荷を負っている方のカウンセリングも担当しました。その他夫婦間の問題でカウンセリングにいらっしゃる方もいますね。

ー知恵さんはアメリカのことも日本のことも両方よくご存知だと思います。日本とアメリカとでは聖書カウンセリングで取り扱う問題の傾向に違いはありますか。

知恵さん アメリカの場合、例えば怒りという問題があったときに怒りの感情をコントロールするためにアンガーマネジメントのセミナーに行くという話をよくききますね。他方で日本では感情は表に出すものではなく心の中でぐつぐつ煮られているもの、我慢するものになっていることがあります。心のぐつぐつを貯めている状態が怒りなんです。例えば、態度が冷たい、突然関係を切ってしまうといったことに怒りが間接的に現れるのです。そのような違いはあるかもしれません。アメリカでは良くも悪くも感情を表に出しますね。日本人はリスクが嫌いで安心かつ安全に生きていたいという思いが強い傾向があります。人間関係においても、向き合ったり、指摘したりすることにはリスクを感じる方が多いかもしれません。聖書カウンセリングでもそのような文化差を感じることはあります。

聖書カウンセラーとして大切にしている3つのこと

ーー聖書カウンセリングを行うとき特に大切していることは何でしょうか。

知恵さん 私が大切にしていることはいくつかあります。一つ目は、神と神のみことばに私自身が頼ることです。私たち聖書カウンセラーが重荷を負うべきではなく、キリストが負ってくださることを理解することは大切ですね。とても大変なケースにあうとき、これは私が負うものではなくて神様が負ってくださることをリマインドするようにしています。そうしないと私が負うことになってしまうのです。私自身が「どうにかしなきゃ」と不安になってしまうこともあります。そうなることを避けるために神様の絶対的な権威、みことばの権威をいつもリマインドし続けるようにしています。

二つ目は、カウンセリーのうちにおられる御霊の力を信じることです。聖書カウンセングは、クリスチャン、すなわち、御霊の働きによりみことばを理解できる方に対して行います。私がいうことで、私が相手をどうにか納得させるのではなくて、カウンセリーのうちにも御霊が宿っているので神様が働きをしてくださいます。御霊が働かれるタイミングはセッションの最中ではないかもしれません。セッションの間のデボーションや説教のときに働かれるかもしれないですね。その働きを信じ続けることは大切だと思います。

三つ目は、カウンセラーとして私自身が救い主にならないことです。私たちを愛し救ってくださった救い主キリストのもとにカウンセリーとともに歩むことがカウンセリングのプロセスだと思います。私自身が解決策を提供できるわけではないのです。本当の希望と平安は、みことばを通して神から与えられるものなのです。カウンセリーがそこに喜びを得られるようにともに歩んでいくことが大切ですね。カウンセリングをするときには、いつも「キリストはこの方にどのように接するのだろうか」ということを考えます。時には正さなければいけない、時にはともに涙を流さなければならない、時には祈り、時にはみことばをシェアするかもしれない。常にキリストに似たものとして接することができるよう心がけています。

ーーありがとうございます。伺ったお話は、カウンセリングという場面に限らずクリスチャン同士が互いに助け合うためにすごく大事なことだと思いました。とても励まされました。

これから聖書カウンセリングの働きをしたい方へ

ーー先日開催されたBCMWの聖書カウンセリングのセミナーでは多くの方が受講されていましたよね。また、講習会に来られなくてもこの働きに興味をお持ちの方は多くいらっしゃるのではないかと思います。セミナーの内容はクリスチャンとして自分の霊的成長のために学びになることが多く、参加するだけでも大変意義のあるものだと思います。ただ、セミナーで学んだ内容を教会や信仰生活でどう活用していけばよいかわからない方もいるのかなと思います。そのような方に向けてアドバイスをお願いします。

知恵さん 私自身もまだ学んでいる最中なんです。セミナーやカンファレンスの交わりの中で私も学ばされることが多いです。そのような学びの機会を与えてくださった神様に感謝しています。アドバイスとしては「ずっと聖書を学びつづけることが大切」とお伝えしたいですね。本当に基本なのですが、聖書を読んで学ぶことがなければ私たちは神様を愛せないですし、神様が私たちを愛していることも深い意味では理解できません。もちろん外に出て美しい自然を見て「神様は素晴らしい」と思う感動も忘れてはいけません。でも、みことばにある真理を学び続けて、どれだけそれが自分の心の糧になるかを自分自身が経験しないと他の方に伝えることもできないと思います。聖書を学び、神学を学ぶ。神様の性質を学ぶ。神様の裁き主としての性質を知り、神様の正しさを知り、神様の正しい怒りがあることを知り、神様の権威を知る。それらを知ることで、人生の苦しみと悲しみと罪の葛藤がある時に神様を疑わなくなりますよね。そして聖書カウンセリングのセミナーへの参加や本や記事を読むことを通して、学んだ知識を「このように用いていくんだ」ということがわかり、適用のスキルを伸ばしていくことができると思います。

もちろんカウンセリングの資格があったら素晴らしいですが、それよりも素晴らしい御霊とみことばを私たちは与えられています。聖書カウンセリングは決して新しいコンセプトではないのです。クリスチャンがみことばを人生に適用し実践することを「聖書カウンセリング」と呼んでいるだけなんです。根本的にはみことばと御霊があればできることなんです。「これができないと私は進めない」とか「ここまでトレーニングをやらなきゃできない」ということではなくて、神様に今与えられている関係、神様に与えられているチャレンジ、自分の心を吟味することをみことばを通して素直に向き合っていくことが大事です。聖書があれば十分だと思うので「これができたらよいカウンセラーになりますよ」とはいえないのですよね。もちろん、みことばを問題に適用する仕方については経験と知恵が必要だと思います。その点は他の経験豊富なカウンセラーに聞いたり、いい本や記事を読むことで知識・スキルを高めていくとよいと思います。でも本当に必要な道具はみなさんすでにお持ちであることを忘れないでほしいですね。

ーーありがとうございます。みことばを学び続けながら、その時与えられている関係の中で最善を尽くすことが大切ですね。

知恵さん 一つひとつの関係は偶然に与えられているわけではないんです。悩みをシェアする関係ではなくてもその方をキリストのように愛し「あなたに関わりたい」ということを求めていくことが大切ですね。日本は本音と建前があるので関係を深めることには時間がかかるかもしれません。でも私たちがそのような関係を求め続けていくことで、ある時「実はこれで悩んでいるんです」「このような罪で葛藤しています」ということをシェアしてもらえるようになるかもしれないですよね。
 それと、もう一つお伝えしたいことがあります。カウンセリングのセミナーにいらっしゃる方は「自分の心を吟味したい」という謙遜な心をお持ちだと思いますし、「周りの人を助けたい」と思っている方々だと思います。そのような思いを持っていることは尊いなと思いますし、すでに賜物があるのだと思います。セミナーでそのような方々に出会うことができて私もとても励まされているんです。

(後編につづく)

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